こんにちは、外食をするとき、第一候補はほぼ100%うどんのわんこそばです。
だってうどんだけじゃないですか?家で食えないものって。
そりゃスーパーでもチルド麵を買えますし、インスタントも売ってるんで作れるっちゃ作れるんですよ。でも作れない。作れると言ってはいけない。コシがないから。
※先を急ぐ方は大見出し「転生」まで飛んでください。
私はラーメンを豚骨や鶏ガラを使ってスープから作ったこともありますし、料理は下手ではないのでレシピを見れば大抵のものは作れます。
でもうどんは作れない。スーパーのうどんにはコシがないから。
大前提としてスーパーのうどんを貶す意図は全くないですし、自分自身よく買います。
が、この先スーパーのうどんに対して辛辣な言葉を並べるので先にスーパーのうどんへの想いを書かせてもらいます。
スーパーのうどんってめっちゃ安くないですか?
1玉30円くらい、ラ・ムーならたまに10円くらいになってる時もありますよね?
で、茹でたら、なんなら茹でずにそのままでも食えると。
こんな消費者に寄り添った食品ってあります?
卵が物価の「優等生」ならうどんは物価の「駅伝が強い学校に入ってきて、それを見ているこちら側は『なんだかなぁ』となるアフリカから来た留学生」ですよ。
私が幼く会話もできないような頃に亡くなった母方の祖父は製麺所を営んでいたらしいのですが、「スーパーのうどん」の安さには憤っていたらしいです。
もちろん直接聞いた記憶はないので母からの伝聞にはなりますが、母も「スーパーのうどん」に対して多少の嫌悪感を抱いているらしいです。
でも買う。
何回も、数えきれないほどの回数食卓に並ぶ。
安いから買ってしまうんです。
私の母は家でうどんを作るときヒガシマルのうどんスープを使うんですが、はっきり言ってうどんスープの方が高いです。
そんでもって焼うどんなんかにするときにはいい感じの硬さになるし、すき焼きの〆では割り下を存分に吸ってくれる。
釣りエサとして使う場合、量によっては小麦粉から作るよりも安かったりする。
自分が食べるだけじゃない、消費者の味方、スーパーのうどん!
と、まあ、これだけスーパーのうどんに対して熱い想いを持っている私も、コシに関しては納得がいっていません。
正直、うどんのつゆ、出汁が持つ繊細な味の違いなんてわからないし、個人の好みだし、麺つゆや生卵と醤油をかけるだけでおいしいから別になんだっていいんですよ。
ただし、コシは違う。味みたいな個人の趣味嗜好ではなく「弾力」という定量的な評価ができるものなので、噛む力の個人差があれど、「うどんAよりもうどんBの方がコシがある」という相対評価は可能なわけです。
※ここでは私の好みに合わせて「博多うどん」のような柔らかめのうどんではなく「讃岐うどん」や「吉田のうどん」のようなコシがあるうどんを「おいしい」とします。
よく「冷凍うどんを電子レンジで温めればコシがある『お店のうどん』になる!」みたいな豆知識を目にしますが、その方法は麺の一部が乾燥した状態になって「茹でて作る」うどんとして致命的な欠点を抱えています。
では「スーパーなどのチルドうどんを電子レンジで少し温めた後、短時間茹でる」という別の豆知識はどうでしょう?結論から申し上げますとナシです。確かに普通に茹でるより硬くはなりますが、それはただ水を吸っていないだけで「コシがある」とは違うんですよね…
「コシがあるうどんが好き」「スーパーのうどんが好き」という相反する面(麵だけに)を併せ持つ私は一つの結論に至りました。
スーパーのうどんを、コシがあるうどんに転生させれば、家でおいしいうどんが食べられるのでは!?
転生
まず、うどんがコシを持つようになるメカニズムについてざっくりと説明します。
小麦粉に含まれる「グリアジン」と「グルテニン」という2種類のタンパク質が、こねる過程で結合して「グルテン」という弾力があって粘り強いタンパク質へと変化して「コシ」が生まれます。
グルテンは網目状の物質で、強い力でこねれば網目が複雑に絡み合い、よりコシが強くなる。そのため、うどん作りの工程では「足踏み」という工程が行われるのです。
その後、こねた生地を「寝かせる」ことでグルテンが安定し、よりコシが強くなるのです。
ここで一つの仮説ができました。
「スーパーのうどんを足で踏んで寝かせれば、おいしいうどんを家で食べられるのでは!?」
というわけで早速作ってみましょう!
STEP1 踏む
今回用意したのはこちらのうどん。
トップバリュ製品で本体価格は35円です。
私もよく買う、いわゆる「スーパーのうどん」で、コストパフォーマンスは高いですがお世辞にもコシがあるとは言えません。
そこで…
小麦粉と食品保存用袋を用意して…
うどんを袋の中に入れて…
打ち粉をして…
タオルに包んで…
踏んでいきます!
折り返したり形を整えたりしつつ、20分ほど踏んだものがこちら!
見た目はかなりそれっぽい!
こちらを…
打ち粉をしたまな板の上で丸めて寝かせれば…
べちゃべちゃすぎでは…?
まあ、本物のうどんを作ったことがないので比較のしようもないし、このまま寝かせていきましょう!
ちなみに、以降の工程はまな板ではくっつきすぎるため大量に打ち粉をしたクッキングシートの上で行います!
2時間ほど寝かせた生地を伸ばしてきますが…
やはりベタついてうまくいきません…
そこで…
キッチンペーパー2枚で挟むという方法でなんとか伸ばしていき…
切ります!
ちなみに、本来は3つ折りにして切ることが多いですが、生地同士がくっついて地獄のようになる未来しか見えなかったので平たいまま切りました。
切った生地は、
たっぷりのお湯で茹でて…
ザルにあげ…
流水でしっかり締めて…
盛り付けると…
できあがり!!!!!
はい、もう絶対にうどんと違いますね!駄作確定!
しかしながら、比較のために用意した
はなまるうどんのおろし醤油うどん(冷・麺のみ)と一緒に食べくらべてみましょう!
ちなみに、今回は純粋に麺のみを評価するため、
つゆは我が母校広島中等教育学校でも使用されていた創味の「そばつゆ」で統一します。
つゆをかけた両者を比較するとこんな感じ。
実食
3時間ほどかけて、うどんをうどんではないものにしてしまったため、非常に機嫌が悪そうな顔をしていますが、しっかり合掌していただきます!
…
いやっ…
食感が……
麩より食感がない…
なんというか、一切の弾力を排除したような柔らかさの団子を食べているみたいなんです。例えるなら、「10倍サイズの米で作ったおかゆを1粒ずつ食べている感じ」ですね…
もう勝敗は見えていますが、一応はなまるうどんの方も食べてみましょう。
ちゅるるるるるる…
うますぎ…
マジでコシが段違いですわ。1本しかすすっていないのに、口に入りながら「俺は麺をすすっている」ということをひしひしと感じさせるような衝撃を口の中に与えられています。冒頭で「麺自体の味はわからない」と書きましたが、コシがある麺の場合口の中でしっかりと噛むことができるので小麦の風味を存分に感じることができます。
言うまでもありませんが、はなまるうどんの圧勝、スーパーのうどんを足で踏んだところでコシのあるうどんにはなりませんでした。
しかしながら、もったいないのでスプーンを使って「うどんではないもの」として最後まで美味しくいただきましょう。
まあ、味自体はめんつゆと小麦なので普通においしくはあります。
そして…
ごちそうさまでした。
どうやらスーパーのうどんは一度茹でてあり、その際に水分を吸っているため再度こねるとベタついてしまうようです。
今回、実際に「うどん」を作ってみて気づいたのですが、この長さの麺を1口ですすりきれる程の強度を持たせられること自体がすごいことなのだと気づきました。しかも、35円でその強度を出せているのは並大抵のことではないと感じられました。
あとひとつ、大きな気づきがありました。それは…
はなまるうどんをテイクアウトすれば家でコシがあるうどんを食える!!!!!!!
完全に盲点でした。
商品代金と容器代30円を支払えばあれほどおいしいうどんが家で食べられるので、絶対に買った方が良いです。