わんこそばのブログおもちゃ王国

いろいろなことをやります

2段構え美味しんぼ

広島中等教育学校OBのわんこそば、板倉、高安は焼肉屋にいた。

ここが新しくオープンした安くておいしいという噂の焼肉屋か。

見たところ、店主の方1人で切り盛りされているようだね。

私も初めて来たんだ。どんな肉が出てくるのか、お手並み拝見といったところだな。

俺、焼肉の中でもレバーには目がないんだよ!早く注文しようぜ~

まあまあ、そう焦るな。じゃあ、オーダーをするか。

すみません、あちらの「レバー」を1皿お願いします…

お待たせ致しました。

…私が焼こう。

では。

おいしい、やっぱりレバーはうまいなぁ!

…?

…おい、店長ちょっと来い!

これはなんだ!豚レバーではないか!近頃の焼肉屋は利益を重視して「レバー」とだけ書いて豚レバーを出しやがる。

確かに「」と書いてはいないが客が焼肉屋で想像するのは当然「牛レバー」。味は似ているが、「レバー」とだけ書いて豚のレバーを出すなど言語道断。

こんなのは本物のレバーではない!客を舐めるな!

私が本物のレバーを持ってきてやる。

これが正真正銘、本物の牛レバーだ。

確かに、言われてみれば色が若干違うな…

よし、焼けたぞ。食ってみろ。

確かに、豚に比べるとトロっとしている舌触りだな。

さっき食べたのもおいしかったけど、これと比べると別物だ!

そうだろう。しかし、客も客だ。

豚と牛の違いも分からないバカは安さに飛びつき、こんな店をもてはやす。

味の違いが分かる身からすれば、豚レバーなどネズミ肉同然。二度と持ってくるな!

…おい、今なんと言った?

聞こえなかったのか?「二度と持ってくるな」と言ったんだ。

いや、その前だ。

その前…?「ネズミ肉同然」と言ったなぁ。

この肉はネズミ肉なんかじゃない。

いや、それはそうだけど悪い肉の代表として例えで言っただけで…

少し待っていてください、私が本当のネズミのレバーをお持ちしましょう。

日本にはハツカネズミ、ドブネズミなどのネズミが生息しているが、それらはどれもゴミを漁ったり、下水道を通ったりしていて汚いし食用には適さない。

そこで、この「ヌートリア」を使う。

ヌートリアは川辺に生息する大型のげっ歯類で、漢字では「海狸」「洋溝鼠」とも表されるネズミの仲間だ。

もともとは毛皮用として日本に持ち込まれた外来種だが、毛皮の価格下落とともに放逐されたものが西日本を中心に野生下で繁殖を始めた。

ヌートリアは草食中心の雑食で、在来種の二枚貝水草、畑の農作物を食べる食害や、土手に巣穴を掘り、堤防の決壊などを引き起こすことから、いわゆる「特定外来生物」に指定されており、生きたままでの運搬などが禁止されている。

一方で、日本ではドブネズミなどと異なり狩猟鳥獣となっているため、適切な手順を踏んだうえでの捕獲が可能だ。

このヌートリア、海外では食用とされており、日本でも戦時中は貴重な食糧だったんだ。つまりは、これが本当のネズミ肉のレバー。よく味わえよ。

これは俺が焼く。野生の動物だ。寄生虫の心配もあるから確実に火を通して食う。さあ、焼けたぞ。

これがネズミ肉か!思ったより、というより全くクセがない!

食感は豚レバーよりも、牛レバーよりも、さらにトロっとしていて、なおかつ味は濃厚だ。

そうなんだ。ヌートリアレバーは柔らかく、なめらかで舌触りが良い反面、冷凍すると解凍時に溶けてしまうため一般には流通していないんだ。

どうだ、本物のネズミ肉を食った今、豚レバーを「ネズミ肉」などとは言えないだろう。それがわかったら二度と「ネズミ肉」などと抜かすな!

なんだったんだ?

~完~

 

※この記事は狩猟免状を取得した後、広島県に狩猟者登録を行ったうえで作成しています。無資格での野生鳥獣の捕獲は鳥獣保護法違反となる場合があるので絶対にやめてください。